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窃盗事件 万引き 認定落ち

依頼者がリサイクルショップで買い物中に、手に取った商品の鞄を持ったまま、考え事をしていたら清算を失念してしまい、歩きながらそのまま店外方向に向かっていったら万引きと思われて万引きGメンに止められ、警察に通報されたために現行犯逮捕され、そのまま起訴された。

活動内容

 店舗外に出たか出てないかが窃盗罪の既遂か未遂かの分かれ目として争点になりました。しかし店舗に出る場面だけ防犯カメラの映像がなくそのために出たか出ないかは万引きGメンの証言だけが証拠でした。

 そこで残っているその部分の映像を繰り返し見て歩行距離に対してかかっている秒数、万引きGメンが追いかけ始めた時点から戻ってくるまでの時間、それまでに依頼者がどれくらい進めるかを解析し、計算したところGメンの証言は物理的に成り立たないことが判明しました。

 弁論では、立証不奏功であることを丁寧に示したところ、裁判官はそれを全面的に受け入れ依頼者は店舗外に出ていないとして窃盗未遂と認定されました。認定落ちです。この判決ではGメンが嘘をついていると言う踏み込んだ認定されました。この裁判を通じ改めて充分な証拠の検討と主張によって裁判官を説得することの重要性を痛感しました。

 なおこの事件で万引きGメンの嘘を暴くきっかけの一つに(検察官が作った調書)がありました。これは万引きGメンから聴取したものだったのですが、現行犯逮捕時点では、言っていなかった追加事項がふやされており、起訴直前に作成されていました。直感的に『作文』、つまりでっち上げではないか、との疑いをもって映像分析を繰り返したことで証言の嘘が暴けたわけですが、ある意味、検察官が余分な調書を作ったことで情報が増えた結果、物理的に成り立たなくなったと言いやすくなった、ということは注目に値します。この事件は、竹原健祐という成りたての検察官が起訴検事でしたが、 被害金も数千円であって現行犯でもあり、被害弁済も事前にしていたのに勾留までされた事件ということで、正直権力を振りかざし過ぎだと思っていたのですが、こうして、結局嘘の証言を追加して起訴した事件であった、ということで、この検察官のいい加減さ(しかも責任は問われない。)に対しては、数年たった今もなお、褪せることなく相当な憤りの感情を持っています。検察官は悪意ではない、などというかもしれませんが、本来防犯カメラをしっかりと検証すれば、調書が成り立たないことは、簡単に見抜けたことであり、客観証拠の検討をおろそかにして『人の言葉』という曖昧なものに頼って犯罪を作りに行く姿勢は、たとえ悪意でなくてもこれに匹敵する失態として、法律家として許されざるものと考えます。

 昨今のなり立て検察官は、客観証拠の検証を、十分せずに言葉だけで犯罪を組み立て、とにかく犯罪者を作ろうとしていると思うような起訴が散見されます。 

 はっきり言って、検察官の登用については、『人間力』も項目に入れ、しっかりと正しいことができる人を登用してほしいと強く感じた事件でした。

弁護士 竹内綱己

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